【翻訳ツール】Google翻訳よりすごい?DeepL翻訳


   最近の翻訳機器の発達には眼を見張るものがあります。ほんの10年くらい前まで、機械翻訳はほとんど役に立たないと思われていました。エキサイト翻訳Google翻訳のようなサービスを使って、日本語を英語に翻訳し、そしてそれを再び日本語に翻訳すると全く意味不明な文が出来上がるという「再翻訳」と呼ばれる文化が流行ったりして、それはそれで面白かったです。

 ディープラーニングと呼ばれる新たな機械学習の方法によって、機械翻訳の精度が大幅に向上した今でも(参考:T-400: 【進化する人工知能】AI翻訳は従来と比べて何が変わったのか?)、まだまだ度々機械翻訳による誤訳は笑いの種になっています。

例えばこちら。
 Google翻訳ではまだ「存じ上げ」という謙譲語を適切に英語にすることができず、乱暴にも “Zonjiage”というローマ字に “not”をつけるだけで翻訳を完了させてしまっています。

 今日一番おもしろかったのがこれ。


 もともとの日本語がオノマトペなので、多分どの翻訳を使っても無理なのでしょうが、もはや意味不明です。おそらく、「うん」のみを翻訳可能な単位と判断して、あとは余計な要素として切り捨ててしまったのではないでしょうか。

 ご覧の通り、まだまだ機械翻訳は発展途上です。機械翻訳の力を過信すると、このような間違いを犯すことになります。


 上の2つはどちらも、日本語の文章をそのままGoogle翻訳に貼り付けて翻訳を行った可能性が高いと判断できます。なぜかというと、1つ目の画像では「詰まらない」の「つまらない」を、「退屈な」boringに、「ように」を…so that…の構文にし、2つ目の画像では日本語では100%、といった意味を持つ「立派な」がそのまま「尊敬できる」という意味のrespectableに機械的に翻訳されているからです。Google翻訳ではまだまだこうした「人間には当たり前に読める文」の意味を壊さずに正確に翻訳することが難しいのです。

 そこで、機械翻訳を適切に利用するために「翻訳前翻訳」をおすすめします。という話をしたことがあります。

 詳しくは以下のスライドの後半をご覧になっていただきたいのですが、要は、「機械翻訳にぶちこむ前に、機械が翻訳しやすいように日本語を再構成してあげようね」ということです。

このことは、「和文英訳」と呼ばれる問題への基本的なアプローチに似ています。たとえば、「初めて行くところでよく人に道を尋ねられるの。」という文をそのまま英語にするのではなく、自分が(もしくは機械が)翻訳しやすいように、主語を補ったり、語順を変えたり、語をシンプルにしたり、口調を整えたりするのです。そうすると、「私は人に道を尋ねられる 初めて行く場所で」のような「翻訳前翻訳」を作ることができて、英語にもしやすいですよね。

はあ、やっぱりまだまだ自分で英語を作る力がいるんですね、全部翻訳に頼ることができたら超ラクなんですけどね。英語の勉強頑張りましょうね、締めたいところなのですがGoogle翻訳を超える超高精度の機械翻訳ツールを発見してしまったので、共有しないわけにはいきません。

DeepL翻訳と呼ばれるこのツールも、機械学習を用いた人工知能により翻訳を行うのですが、非常に精度が高い翻訳をしてくれます(詳しくはこちら:GIGAZINE: めちゃくちゃ精度が高いと話題の機械翻訳「DeepL翻訳」に日本語の翻訳機能が登場したので実際に使ってみた
いろいろと皆さんに試してもらいたいので、ここでは一つ、Googleの翻訳精度と比較できるように同じ文「毎日学校に生徒は誰も来んしめちゃつまらん。コロナウイルス勘弁してほしい。ご飯何食べるかぐらいしか楽しみがねえ」を両者に翻訳してもらったものを紹介します(できるだけ口調を崩してみました)。



 Googleが翻訳に失敗しているのがわかりますか? “Please take care of the coronavirus.”全く意味が違うものになっています。それに比べて、DeepLの方は、かなり正確に意味を伝えているのに加えて、乱暴な口調のニュアンスもある程度翻訳できています。

 ちなみに、上で紹介した文たち(「うんとこしょ」、「つまらないように」や「立派な犯罪」)も、DeepLではまだまだ正しく翻訳することができません。ですが、このままではおそらく近いうちに、どんどん翻訳の精度も速度も上がって、完璧に近いものになるでしょう。

 機械を使ってあらゆる言葉を瞬時に・正確に翻訳することができる。そうなった時に、あなた達が学校で英語を学ぶ理由はなんなのでしょうか?もちろん、私の思う「それでも英語を(外国語を)学ぶ理由」はあるのですが、是非この機会に、今回紹介した翻訳ツールで一通り遊んだ上で、皆さんにも考えてみてほしいと思います。良かったらあなたの意見を聞かせてください。


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