【学習法】ほんとうに学びたいのなら、「おべんきょう」はやめて「テスト」を受けろ

 この記事では、ただただ教科書を読んだり、ノートにまとめるという勉強法ではなく、テストを受けて力を試す、という勉強法について解説します。


 少し昔の記事ですが、New York Timesにこんな記事がありました。


「ほんとうに学びたいのなら、「おべんきょう」はやめて「テスト」を受けろ」
面白いタイトルですね、学びたいのに勉強をやめる、とはどういう意味なのでしょうか。
少し引用してみます。上が原文、下が私の訳(もしくはまとめ)です。

 "Taking a test is not just a passive mechanism for assessing how much people know, according to new research. It actually helps people learn, and it works better than a number of other studying techniques."


新たな研究によると、テストを受けることは人がどれだけのことを知っているか査定するような、単なる受け身の方法ではない。テストは、実際には人が学ぶことを促進し、他の多くの勉強法よりも効果的なのだ。

 皆さんにとってのテストは、例えば単語テストや定期考査など、毎回キツいけどやらないといけない、憎むべきものでしょうか。私にとってもけっこう大変なものではありますが。
 この記事での主題はこれです。「テストを受ける」という勉強法のほうが、実は他の方法よりも効果的である。

 どういうこと?もう少し引用してみます。

 "The research, published online Thursday in the journal Science, found that students who read a passage, then took a test asking them to recall what they had read, retained about 50 percent more of the information a week later than students who used two other methods."

Science誌で公表された研究では、文章を読み、読んだことについて思い出すことを求められるテストを受けた人のほうが、一週間後、他の2つの方法を用いた人よりも50%以上多くの情報を覚えていたことがわかった。

 「他の2つの方法」とは、普通の勉強法として一般的な①ただ教材を読むという方法と、教師が薦めがちな②読んだことを図や表にまとめる、という方法です。この2つの方法で勉強をするよりも、教材を読んだあと理解度をチェックされた人のほうが、一週間後により教材の内容を記憶していたという研究結果が出ました。

 でも、体感的には①、②(テストを受ける方法を③としましょういか)のような方法を用いたほうが、勉強になっている感じはするし、皆さんもテスト勉強は①②を使うことが多いのではないですか?それについてはこんな報告をされています。

 "These other methods not only are popular, the researchers reported; they also seem to give students the illusion that they know material better than they do."

これらの方法は人気があるだけではなく、研究者は、これらの方法(①と②)が生徒に、実際よりも自分が教材を知っているかのようなつもりにさせる効果があるようだと報告した。

 つまり、①②を通して得られるのは「達成感」であって、知識の定着ではない、ということです。確かに、①②の方法は「努力している」「やっている」感はありますが、実際には身についていないようです。

 では逆に、テストを受けるという方法は、どうして学習内容を定着させることになるのでしょうか。

 "The students who took the recall tests may “recognize some gaps in their knowledge,” ... “and they might revisit the ideas in the back of their mind or the front of their mind.

 テストを受ける勉強法を用いた生徒は「自分の覚えていることと覚えていないこと」の差に気づき、「学んだことについて思い返すことができた」のかもしれない。

 "When they are later asked what they have learned,... they can more easily “retrieve it and organize the knowledge that they have in a way that makes sense to them."

学んだことについて学習後に問われることで、学習者は学習者自身にとって意味を成す形ですでに持っている知識を引き出し、再構成することができる


 学習の後すぐに、自分の理解を試すという方法自体が、「読んだけどわかっていないこと」を明らかにして、それについて思い出そうとする経験になるようです。そしてそれが、学んだことを再構成して、記憶として定着することに役立つようです。

 「テスト」といっても、「自分が学んだことを覚えているかどうかを試す」という勉強法が効果的だとこの記事では伝えているわけです。こうした方法は「テスト効果」として心理学の領域で研究されています。

日本語で読める記事はこちら:


 「テスト効果」を効果的に利用するためには、どのような勉強ができるでしょうか。この勉強法の核となる部分を抜き出してみましょうか。

●学んだ直後に
●自分の理解や記憶が試される何らかの方法をとること 

であるならば、いろいろなことに応用がききそうです。

 例えば、「単語帳の日本語部分を赤シートで隠しながら英語を見て、和訳を言う」こと。そうです、実は皆さんが普段やっているコレも、テスト効果を応用した勉強法の一種なんです。
 
 他には、「一度読んだ文章の要約文を、文章を再確認せずにやってみる」、「授業で学んだ文法事項の問題を解く」など、そんなに工夫した勉強法ではなくても、立派にテスト効果を活用できるわけです。
 
 皆さんに是非気をつけてほしいのは、引用した記事でも言われていたように、「ただ教科書をいっぱい読む!」「ノートにいっぱいまとめる!」のような方法は、時間がかかるのでみなさんに「頑張った感」だけを残し、全然定着に役立っていないことが多い、ということです。

 テスト効果を活用して意味のある勉強を続けてくださいね。
 






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